【弁護士解説】企業法務へのパスポート。「ビジネス実務法務検定2級®」の実力とは

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弁護士町田北斗

ベンチャー起業の法務を専門とし、社内弁護士として企業の成長を法的側面から支えています。
当サイトでは、単なる事務処理ではない「経営に貢献できる法務」になるための実務ノウハウを公開。
契約書審査からIPO準備、労務戦略まで、現場で本当に役立つ「攻めと守りのリーガルビジネスマインド」をお伝えします。

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未経験から企業の法務部門を目指す際、履歴書に書くことで最も効果を発揮する資格。それが東京商工会議所が主催する**「ビジネス実務法務検定試験®(通称:ビジ法)」の2級**です。

なぜ「2級」なのか?

「3級ではダメですか?」とよく聞かれますが、転職活動においては**「2級以上」が必須ライン**だと考えてください。
3級は「社会人としての基礎教養」レベルですが、2級は「弁護士などの外部専門家に相談する際、共通言語で話せるレベル」と定義されており、実務担当者としての知識の証明になるからです。

試験の内容と実務への直結度

出題範囲は、民法(契約)、会社法(組織運営)、労働法、知的財産法など多岐にわたります。
これは、ベンチャー・中小企業の法務担当者が日々直面する**「広く浅いトラブル」の守備範囲とほぼ完全に一致**します。

行政書士や司法書士のような「独占業務(その資格がないとできない仕事)」はありませんが、企業法務の採用現場においては、「難関資格勉強中の人」よりも「ビジ法2級を持っていて、ビジネス視点がある人」の方が、即戦力として好まれる傾向すらあります。

合格率と学習時間の目安

合格率は例年30〜50%程度。

ビジネス実務法務検定2級の平均学習時間は、60〜100時間です。

知識レベルによる目安は以下の通りです。

  • 完全な初学者:80〜100時間
  • 法学部卒・3級合格者:40〜60時間

1日1時間の学習時間を確保できれば、約2〜3ヶ月で合格圏内(70点以上)に到達可能です。

未経験から法務への切符を手に入れるための、最もコストパフォーマンスの良い自己投資と言えるでしょう。

試験内容と攻略のコツ

【一覧表】ビジネス実務法務検定2級の試験概要と出題範囲

2級は、法律の条文暗記ではなく、**「実務で発生するトラブルにどう対処するか」**という応用力が問われる試験です。

項目内容
試験方式IBT方式(自宅のPCで受験)
または CBT方式(テストセンターで受験)
※多肢選択式(マークシート形式に近い)
試験時間・問題数90分 / 40問
合格基準100点満点中、70点以上で合格
※定員制ではなく、70点を取れば必ず合格できる「絶対評価」です。
主な出題テーマ①
(契約・取引)
【民法・商法】
契約の成立要件、売買・請負・秘密保持契約(NDA)、電子契約、損害賠償請求など、日常業務のベースとなる知識。
主な出題テーマ②
(会社運営)
【会社法】
株式会社の仕組み、株主総会の運営、取締役の責任、設立・合併の手続きなど、組織運営に関わる知識。
主な出題テーマ③
(リスク管理)
【知財・労働・倒産など】
・著作権や商標権の侵害対応(知的財産法)
・未払い残業代や解雇トラブル(労働法)
・取引先が倒産した際の債権回収(民事執行法・破産法)
・個人情報の取り扱い(個人情報保護法)

法律科目の学習のコツ

法律学習を始めたばかりの方が最初にぶつかる壁、それは「専門用語の難しさ」と「条文の無機質さ」です。
しかし、法律は単なる暗記科目ではありません。コツさえ掴めば、パズルのように論理的に理解できるようになります。

初学者の方に意識してほしい**「学習のコツ」**をご紹介します。

1. 「趣旨(なぜ?)」を常に考える

すべての法律には、制定された理由(趣旨)があります。
「誰の何の利益を守るためのルールなのか?」「何を禁止したいのか?」
この**「法令や条文の趣旨」**を理解することが最も重要です。

まずは、法令全体の枠組みを把握したうえで、個々の細かい条文を理解していくことで、結果的に暗記で終わらない知識になります。

【一覧表】ビジ法2級 主要法令の「趣旨・目的」とビジネスでの視点

法律はそれぞれ「誰を、何から守りたいのか」という性格が異なります。ここを押さえることが合格への近道です。

法令分野法の趣旨・目的(Why?)ビジネス実務での視点
民法
(取引の基本)
【私的自治・公平】
対等な私人間のルール。「約束は守るべき(契約拘束力)」を基本としつつ、過失や信義則で公平な解決を図る。
「契約と責任」
契約はいつ成立するのか? 約束を破った時(債務不履行)にどんな責任を負うのか?
会社法
(組織のルール)
【利害調整・組織運営】
会社という「器」の運営ルール。株主、債権者、経営陣それぞれの利益を守り、健全な経済活動を支える。
「誰が決めるか」
株主総会と取締役会の権限は? 役員がミスをした時、誰に対して責任を負うか?
労働法
(労働基準法など)
【労働者保護】
会社と社員の「力の格差」を是正する。立場が弱い労働者が、人間らしい生活を送れる最低基準を定める。
「会社の義務」
残業代は正しく払っているか? 解雇やハラスメントのリスク管理はできているか?
知的財産法
(著作権・特許など)
【保護と利用のバランス】
作った人(クリエイター)の権利を守りつつ、そのアイデアを社会が利用できるようにして、産業を発展させる。
「独占と侵害」
自社の技術・ブランドを守れるか? 知らないうちに他社の権利を踏んでいないか?
独占禁止法
(競争政策)
【公正な競争】
市場でのズル(カルテルや談合)や、強い立場の濫用を防ぎ、消費者が良いものを安く買える環境を守る。
「フェアプレー」
ライバル会社と価格協定を結んでいないか? 下請け業者を不当にいじめていないか?
消費者契約法
(BtoCルール)
【情報格差の是正】
プロ(企業)とアマ(消費者)の間の、情報量と交渉力の差を埋めるために、消費者に有利なルールを設ける。
「説明責任」
不当な勧誘や、消費者に一方的に不利な契約条項(キャンセル不可など)を使っていないか?
倒産法
(破産法など)
【公平な清算・再生】
資金が尽きた時、早い者勝ちで奪い合うのを防ぎ、債権者へ公平に分配するか、事業の再起を図る。
「債権回収」
取引先が危ない時、どうやって代金を回収するか?(担保、相殺など)

2. 「Aさん・Bさん」のドラマに置き換える

「善意の第三者」や「契約不適合責任」といった言葉をそのまま読まないでください。
「事情を知らないCさん」「買った家にシロアリがいた場合」のように、身近な具体例や、Aさん・Bさんが登場するドラマのワンシーンに脳内で変換しましょう。
法律は「人間の争い」を解決するツールなので、人間ドラマとして捉えるのが最短ルートです。

3.条文の要件と効果を理解する

法律の条文を漫然と読んでいても、頭には入りません。
コツは、すべての条文を**「要件(もし〜ならば)」「効果(〜になる)」**の2つに分解して読むことです。

  • 要件:スイッチを押すための条件
    • 例:Aが「売る」と言い、Bが「買う」と言った。
  • 効果:スイッチが押されたら起きる結果
    • 例:Bに「代金を支払う義務」が発生する。

法務の実務とは、目の前の事実が「要件」に当てはまるかをチェックし、どんな「効果(権利や義務)」が発生するかを予測する作業に他なりません。

法律効果は、目にみえません。(請求権の存在)
しかし、要件となる事実は必ず目に見えます。(契約書の存在→契約の申し込みと承諾の合致)

条文を読む際は、「どこまでが要件で、どこからが効果か」を意識して区切るだけで、理解スピードが劇的に上がります。

4. 「原則」と「例外」を分ける

法律の条文は、「原則(基本はこう)」と「例外(でもこの場合は違う)」のセットでできています。
ごちゃ混ぜにせず、まずは**「原則」を太い幹として理解し、その後に「例外」**の枝葉を足していくイメージで学習すると、知識が整理されやすくなります。

【具体例】混ぜると危険。「原則」と「例外」の整理表

実務では、トラブルが起きた時に「今回は例外パターン(但し書き)に当てはまらないか?」を検討することが非常に多いです。

テーマ【原則】基本のルール(まずはここを暗記)【例外】特定の事情がある場合(応用・但し書き)理解のポイント
① 未成年者の契約「親の同意が必要」
未成年者が単独で行った契約は、後から取り消すことができる(守られるべき存在だから)。
「お小遣いは自由」
親が「使っていいよ」と渡した範囲の財産(処分を許された財産)なら、単独で契約しても有効。取り消せない。
すべての契約を取り消せると、コンビニでお菓子も買えなくなってしまう。
② 契約の解除
(約束破りへの対応)
「催告(さいこく)が必要」
相手が約束を破っても、いきなり解除はできない。「〇日までにやって!」と最後のチャンス(催告)を与える必要がある。
「無催告解除(むさいこく)」
「結婚式のウェディングケーキ」のように、期限を過ぎたら意味がないもの(定期行為)は、チャンスを与えず即解除できる。
原則は「ラストチャンス」をあげる優しさがあるが、待っても無意味な時は不要。
③ 損害賠償
(モノを壊した時)
「過失責任の原則」
わざと(故意)、または不注意(過失)があった時だけ、責任を負う。「不可抗力」なら責任を負わなくていい。
「無過失責任」
製造物責任法(PL法)などでは、企業側にミス(過失)がなくても、製品に欠陥があれば責任を負わなければならない。
被害者(消費者)が企業の過失を証明するのは困難なため、例外的に厳しくしている。

学習のアドバイス テキストを読む際は、「〜しなければならない。ただし、〜の場合はこの限りではない」という「但し書き」が出てきたら、そこで思考を一旦区切り、「ここからが例外の話だな」と意識するだけで、知識が整理されやすくなります。

AIを活用して学習する方法

法律学習、特に独学の最大の壁は「用語が難しくてイメージが湧かないこと」です。

ChatGPTなどの生成AIを「自分専用の家庭教師」として使うことで、学習効率は劇的に向上します。おすすめの活用法は以下の3つです。

  1. 「小学生翻訳」「『善意無過失』という言葉を、小学生でもわかるように例え話で説明して」と指示してください。難解な定義が、身近なストーリーに変わります。
  2. オリジナル問題作成「民法の『時効』に関する○×クイズを5問出して」と頼めば、無限に演習問題を作れます。
  3. 理解度の壁打ち「私はこう理解したけれど、合っている?」と自分の言葉で説明し、AIに添削してもらうことで記憶が定着します。

※AIは古い法改正情報を出すこともあるため、必ず最後はテキストで確認しましょう。


【コピペで使える】AIへの学習指示(プロンプト)例

悩みAIへの指示(プロンプト)例
用語が難しい「『瑕疵担保責任』について、身近なコンビニの買い物に例えて説明して。」
違いが不明「『無効』と『取消し』の違いを、表形式でわかりやすく比較して。」
暗記したい「この条文の重要なキーワードを穴埋め問題にして出題して。」

「独学だと挫折しそう」「最短で結果を出したい」方には、ネット講座の活用が最も合理的です。難解な条文も、プロの解説なら驚くほどスムーズに頭に入ります。

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確実な合格を手にするために、プロの力を頼ることも検討してください。

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